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納豆のネバネバが苦手だけど、その豊富な栄養は魅力的で、できれば自分や子供にも食べさせたい、と考えていませんか。
納豆特有の粘り気は、好き嫌いが分かれるポイントですが、実は簡単な工夫で抑えることが可能です。
この記事では、納豆のネバネバを消すための具体的な方法について、詳しく解説していきます。
ネバネバの正体から、栄養を損なわずに美味しく食べるためのコツ、大根おろしや生卵を使った簡単レシピ、さらには離乳食への応用まで、様々な角度からアプローチします。
また、熱いご飯がNGとされる理由や、食器洗いを楽にする味噌汁を使った裏技もご紹介しますので、納豆との付き合い方が変わるかもしれません。
ポイント
- 納豆のネバネバの正体と栄養価
- ネバネバを消して食べやすくする方法
- 子供や離乳食向けのネバネバ対策レシピ
- 洗い物を楽にするネバネバ解消の裏技
納豆のネバネバを消すための基本知識
ネバネバの気になる正体とは?

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納豆を混ぜると現れる、あの独特のネバネバとした糸。
この正体は、主に「ポリグルタミン酸」と「フラクタン」という2つの成分からできています。
ポリグルタミン酸は、昆布の旨味成分としても知られるグルタミン酸がたくさんつながったアミノ酸の一種です。
これが納豆の旨味の源となっています。
一方のフラクタンは糖の一種で、ポリグルタミン酸が生み出すネバネバを安定させ、糸引きを良くする働きを担っています。
これらの成分は、納豆の原料である大豆にもともと含まれているわけではありません。
蒸した大豆に納豆菌を加えて発酵させる過程で、納豆菌が大豆のたんぱく質を分解し、これらのネバネバ成分を生成するのです。
つまり、ネバネバは納豆菌が作り出した、美味しさと栄養の証とも言えるでしょう。
大豆の産地でネバネバは違う?
使用される大豆の品種や産地によって、納豆のネバネバの強さが変わることがあります。
一般的に、アメリカやカナダ産の大豆を使った納豆は、粘りが強い傾向にあると言われています。
日本では強い糸引きが好まれる一方、海外ではネバネバが苦手な人も多いため、粘りの少ない納豆の開発も進められているようです。
ネバネバが消えても栄養は変わらない
「ネバネバを消すと、栄養もなくなってしまうのでは?」と心配されるかもしれませんが、基本的な栄養価はほとんど変わりません。
納豆の栄養は、ネバネバ成分だけに存在するのではなく、発酵した大豆そのものに豊富に含まれているからです。
大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど、良質なたんぱく質が豊富です。
さらに発酵することで、ビタミンB2やビタミンKなど、元のままの大豆には少ない栄養素が増加します。
これらの栄養素は、ネバネバを抑える工夫をしても失われることはありませんので、ご安心ください。
注意点:加熱による「ナットウキナーゼ」への影響
ただし、一つ注意したいのが「ナットウキナーゼ」という酵素です。
これは納豆独自の成分で、健康維持に役立つと注目されていますが、熱に弱い性質を持っています。
タカノフーズ株式会社の公式サイトによると、ナットウキナーゼは熱に弱く、加熱するとその働きが弱まる可能性があるとされています。
もしナットウキナーゼの効果を最大限に得たい場合は、加熱しすぎない方法を選ぶのがおすすめです。
かき混ぜても栄養価はアップしない?
「納豆はよく混ぜるほど栄養価が上がる」という話を聞いたことがあるかもしれませんが、かき混ぜる回数によって栄養成分の量自体が変化することはありません。
しかし、たくさん混ぜることで空気が含まれ、舌触りがまろやかになり、旨味成分であるポリグルタミン酸が全体に行き渡るため、より美味しく感じられるようになります。
粘りを抑えるおすすめの方法

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納豆の粘りを手軽に抑える方法はいくつか存在します。
ここでは代表的な方法を4つ紹介しますので、ご自身の好みや状況に合わせて試してみてください。
冷凍する
納豆菌は10℃以下の環境では発酵を止めます。
この性質を利用し、納豆を冷凍保存すると、納豆菌の活動が休止し、粘りが弱まります。
食べる際は、冷蔵庫で自然解凍するか、電子レンジで20秒ほど軽く加熱すると良いでしょう。
一度冷凍した納豆は、解凍後も粘りが戻りにくく、サラッとした食感になります。
加熱する
前述の通り、ナットウキナーゼの効果は減少する可能性がありますが、粘りを消す効果は絶大です。
ネバネバの主成分であるポリグルタミン酸はたんぱく質の一種であり、熱を加えることで分解され、粘りが弱まります。
チャーハンや卵焼き、おやきなどに調理するのがおすすめです。
お酢を加える
納豆にお酢を数滴加えると、粘りが驚くほど弱まります。
これは、お酢の酸性成分がネバネバの構造を変化させるためです。
同時に、納豆特有のアンモニア臭を抑える効果も期待できるので、臭いが苦手な方にも最適な方法です。
油を加える
オリーブオイルやごま油などの油を少量加えることでも、粘りをコーティングして抑えることができます。
油の風味が加わることで味わいが変わるだけでなく、納豆に含まれる脂溶性ビタミンである「ビタミンK」の吸収を助けるというメリットもあります。
粘りを抑える方法まとめ
- 冷凍:納豆菌の活動を止めて粘りを弱める
- 加熱:ネバネバ成分を分解して粘りを消す
- お酢:酸の力で粘りと臭いを同時に抑える
- 油:粘りをコーティングし、栄養吸収もサポート
大根おろしでサラサラ食感にする

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納豆のネバネバ対策として、昔から知られているのが大根おろしと混ぜる方法です。
これは、単に水分で薄まるだけでなく、科学的な根拠に基づいています。
大根には、「ジアスターゼ」をはじめとする消化酵素が豊富に含まれています。
この酵素が、納豆のネバネバの主成分であるたんぱく質(ポリグルタミン酸)を分解してくれるため、粘りが和らぎ、サラサラとした食感に変わるのです。
大根の辛味成分には納豆の臭いを抑える効果も期待でき、さっぱりと食べやすくなります。
必ず生の大根おろしを使いましょう
大根に含まれる酵素は熱に非常に弱い性質を持っています。
加熱してしまうと酵素の働きが失われてしまうため、ネバネバを分解する効果は期待できません。
必ず、加熱していない生の大根おろしを使用してください。
生卵でふわふわ食感にする
生卵と納豆の組み合わせは、定番の食べ方の一つですが、これもネバネバを緩和するのに非常に効果的です。
特に、卵をしっかりと泡立ててから納豆と合わせるのがおすすめです。
卵白をメレンゲ状に泡立てて作る「ふわふわ卵かけご飯」のようにすると、納豆の粘りがメレンゲの気泡に包まれ、口当たりが劇的に軽くなります。
ネバネバとした食感が、ふわふわとした食感に変わるため、粘りが苦手な方やお子様でも食べやすくなるでしょう。
卵黄だけを加えれば、コクとまろやかさが増し、これもまた粘りをマイルドにしてくれます。
卵を加えるだけで、いつもの納豆がまるで違う食べ物に感じられますよ。
栄養価もアップするので、一石二鳥の食べ方ですね!
熱いご飯がNGとされる理由

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納豆ご飯を食べる際、炊きたての熱々のご飯にのせるのが好き、という方も多いかもしれません。
しかし、納豆の持つ健康効果を最大限に活かしたいのであれば、その食べ方は少しもったいないかもしれません。
その理由は、納豆に含まれる貴重な酵素「ナットウキナーゼ」が熱に弱いからです。
ナットウキナーゼは、血液をサラサラにする効果が期待される成分ですが、一般的に50℃以上の温度で活性が弱まりはじめ、70℃を超えるとほとんどその働きを失ってしまうとされています。
炊きたてのご飯の温度は80℃~90℃にもなるため、その上に直接納豆をのせてしまうと、ナットウキナーゼが本来の力を発揮できなくなる可能性があるのです。
もちろん、味が好きで熱々のご飯と合わせることを否定するものではありません。
ただ、もし健康効果を重視するのであれば、ご飯を少し冷まして人肌程度の温度にしてから納豆をのせることをおすすめします。
調理で納豆のネバネバを消す実践テク
子供でも食べやすくなる工夫

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栄養満点な納豆を、ぜひ子供にも食べさせたいと考える親御さんは多いでしょう。
しかし、子供は大人以上に食感に敏感で、ネバネバを嫌がることがあります。
また、自分で食べたがる時期には、手や口の周りがネバネバになってしまうのも悩みの種です。
そんな時は、少し工夫を加えてみましょう。
まず試したいのが、粒が細かく粘りも比較的少ない「ひきわり納豆」を選ぶことです。
これだけでも食べやすさが大きく変わります。
それでも苦手な場合は、他の食材と混ぜて食感を変えるのが有効です。
例えば、豆腐やひき肉、細かく刻んだ野菜などと混ぜると、納豆の粘りが分散されて気になりにくくなります。
さらに、それらをまとめて焼く「納豆おやき」にすれば、ネバネバが消えて手づかみで食べられるので、子供も喜んでくれるかもしれません。
離乳食で使うときの注意点
納豆は、離乳食としても非常に優秀な食材です。
一般的には、離乳食後期(9ヶ月頃)から与え始めることができますが、いくつかの重要な注意点があります。
アレルギーと加熱の重要性
納豆の原料である大豆は、アレルギー表示が義務付けられている品目の一つです。
初めて与える際は、必ずアレルギー反応が出てもすぐに対応できる平日の午前中に、耳かき1杯程度の少量から始めましょう。
また、万が一の食中毒のリスクを避けるため、そしてネバネバを抑えて赤ちゃんが飲み込みやすくするために、離乳食で使う際は必ず加熱してください。
納豆をザルなどに入れてサッと湯通しするだけで、粘りが取れて安全に与えることができます。
加熱した納豆をすりつぶしたり、細かく刻んだりして、おかゆや野菜ペーストに混ぜて与えるのが一般的です。
最初は少量から始め、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ量を増やしていきましょう。
簡単アレンジ!ネバネバ解消レシピ
納豆のネバネバが苦手な方でも美味しく食べられる、簡単アレンジレシピを2つご紹介します。
加熱調理がメインなので、粘りを気にせず楽しむことができます。
パラパラ納豆チャーハン
炒飯にすることでネバネバが気にならなくなりだいぶ食べやすくなります。
納豆オムレツ
刻みネギがポイントとなるオムレツレシピ。
卵と納豆を投入する前にネギを炒めるのがポイント。
時間がなければ加えて一緒に炒めてもネギ感が全面に出てそれはそれで美味しかったです。
味噌汁で糸切りする裏技
納豆を食べていると、箸から伸びるネバネバの糸がなかなか切れず、口元や食卓を汚してしまった経験はありませんか。そんな時に役立つ、とても簡単な裏技があります。
それは、お味噌汁を活用する方法です。
やり方は至ってシンプル。
納豆を口に運ぶ際、箸の先をほんの少しお味噌汁に浸すだけです。
すると、あれほどしつこかった納豆の糸が、驚くほどスパッと切れるのです。
なぜ糸が切れるの?
これには、お味噌汁の「温度」と「塩分」が関係していると考えられます。
ネバネバ成分であるポリグルタミン酸は熱に弱い性質があるため、温かいお味噌汁に触れることで粘性が弱まります。
さらに、塩分も粘性を断ち切る働きを助けてくれるため、相乗効果で糸が切れやすくなるのです。
この方法なら、特別な道具は何も必要ありません。
食卓にお味噌汁があれば誰でもすぐに試せるので、納豆の糸引きに悩んでいる方はぜひ実践してみてください。
工夫して納豆のネバネバを消すコツ
この記事では、納豆のネバネバを消すための様々な方法をご紹介してきました。最後に、重要なポイントをまとめておさらいしましょう。
まとめ
- 納豆のネバネバの正体はポリグルタミン酸とフラクタン
- ネバネバを消しても基本的な栄養価は変わらない
- ただし熱に弱いナットウキナーゼは加熱で効果が弱まる可能性
- 粘りを抑えるには冷凍、加熱、お酢や油を加える方法が有効
- 生の大根おろしに含まれる酵素はネバネバを分解する
- 生卵と混ぜると食感がマイルドになり食べやすくなる
- 熱いご飯にのせるとナットウキナーゼの働きが弱まるためNG
- 子供には粒の小さいひきわり納豆がおすすめ
- 他の食材と混ぜたり、おやきにしたりすると子供も食べやすい
- 離乳食で使う場合はアレルギーに注意し必ず加熱する
- 湯通しすることで離乳食向けのネバネバ対策になる
- チャーハンやオムレツなど加熱レシピは粘り解消に最適
- 箸先を味噌汁につけるとネバネバの糸が簡単に切れる
- 食べ終わった食器はお湯につけ置きすると洗いやすい
- お湯にお酢を数滴垂らすとさらに汚れが落ちやすくなる
納豆のネバネバを消すための具体的な方法とコツを多角的にご紹介しました。
ネバネバの正体から栄養面での注意点、そして冷凍や加熱、大根おろしやお酢を混ぜるといった簡単な工夫で、納豆の食感は大きく変わります。
子供が喜ぶおやきレシピや、後片付けが楽になる裏技など、今日からすぐに試せるアイデアも満載です。
これまでネバネバが理由で納豆を避けていた方も、ぜひこの記事を参考に、ご自身やご家族に合った食べ方を見つけてみてください。
栄養満点の納豆を、美味しく食生活に取り入れる新しい扉が開かれるはずです。